ちはやふる日記


[cinema] ブレードランナー 2049

2017年11月09日 10:25更新

ゴリゴリのSF映画でした。映画館の大スクリーンと大型スピーカーならではの没入感はさすが! 3時間弱の作品を見終わったあとは、ぐったりと疲れていましたが、それだけ中身の濃い、情報量の多い作品でした。

本作では主人公のブレードランナー(捜査官)がレプリカント(人造人間)であるという設定が物語の冒頭から明かされているため、人である観客は主人公に共感できないはずなのですが、次々に登場する身勝手な振る舞いの人間たちと自らが作り物(機械)であることを理解した上で煩悶する主人公を比べるにつけて、最後には主人公のブレードランナー(つくりもの)に共感してしまうストーリーの運びには感心してしまいました。

私が前作の『ブレードランナー』と出会ったのは高校生の頃。リアルタイムには映画館で鑑賞していなのですが、土曜日の高校の帰り道に池袋の大型書店で文庫本をつらつらと漁っているときに、フィリップ・K・ディックの原作本『電気羊はアンドロイドの夢を見るか?』を手に取ったのがきっかけでした。原作小説と映画では世界観も物語もかなり異なるのですが、それまで接していた「科学技術の進歩の恩恵を受けた明るいユートピア」に対して、「退廃と混沌に満ちたデストピア」は新鮮な驚きでした。すでに公害問題や環境破壊、核戦争の恐怖などが現実社会の問題として浮かび上がっていた時代なので、科学技術の進歩が必ずしも人類の幸福には繋がらない、というテーマは目新しいものではなかったのかもしれませんが、それでもエンターテーメントの世界では、「魔法のような科学技術が明るい未来を与えてくれる」という幻想をふりまいていた時代だったので、学生の頃の私に少なからず衝撃を与えたのかもしれません。

 



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