ちはやふる日記


[cinema] 『碁盤斬り』

2024年05月19日 02:51更新

草彅剛さん主演の時代劇を見に行ってきました。時代劇らしい陰影を生かした映像が綺麗でした。草彅剛さんが演じる「武士は食わねど高楊枝」の食詰め浪人は清廉潔白であろうとするがゆえに周囲を不幸にしてしまったことに自覚的であるところが魅力的でした。そしてそのことを自覚してはいるものの武士としての誇りからくる衝動を抑えきれずに激烈な行動に走る有り様が切なくもありました。そして草彅剛さんが演じる浪人と交わる人たちがこれまた魅力的でした。國村隼さんが演じる商人や小泉今日子さんが演じる吉原の女郎屋の主人は決して清廉潔白な人たちではなく、世間から後ろ指を刺される存在として描かれています。そして斎藤工さんが演じる主人公の仇がこれまた魅力的でした。清廉潔白な主人公とは対照的に敵役の逐電侍のほうが人間味があって、しかし人であるがゆえに悪にすっぽりと染まっている姿が主人公と表裏一体をなしていて物語に深みをだしていました。

清廉潔白な武士の娘を演じている清原果耶さんの役柄は、ただただ無私無欲で、貧困に汚れて自分を出してもよさそうなものなのですが、ざらりとした映画のエンディングに残された最後の希望なのかもしれないなと感じました。



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