ちはやふる日記


木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』

2024年10月06日 12:40更新
まつもと市民芸術館

まつもと市民芸術館で上演された木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買 (さんにん きちさ くるわ の はつがい)』を観劇してきました。

歌舞伎の演目を現代劇の役者さんと舞台セットで上演する舞台公演でした。

20分の休憩時間を途中2回挟んで5時間越えの長い公演。さらにこの日は公演後に木ノ下裕一さんによる45分のアフタートークつきと盛りだくさんの内容でしたが最後まで釘付けになりました。

お目当ては藤野涼子さんと緒川たまき様でしたが、三幕の「丁子屋別荘の場」で藤野涼子さん演じる花魁の一重の臨終と、臨終に立ち会う緒川たまきさん演じるおしづさんの掛け合いが圧巻でした。吉原通いで身上を持ち崩す文理さんを挟んで、遊女と本妻という微妙な関係でありながらもお互いにお互いを思いやる姿が迫力でした。妾と本妻とか義兄弟とか現代の価値観ではピンともこなければ共感もできないのですが、この三人吉三廓初買が上演されたのは幕末の地震(安政地震)や疫病(コロリ、コレラ)に見舞われた時代。死が常に隣り合わせにあった世相に血縁を越えて結ばれた擬似家族がリアリティーをもって受け入れられていたというお話をアフタートークでご説明いただいて腑に落ちました。三人の吉三も文理も時代の運命に抗いながらも流されていくダメダメな男たちなのですが、そのそばに寄り添う女性たちが素敵に凛とした姿で描かれていたのが現代的でもあり、しかし幕末という時代の転換点を生きた原作者の黙阿弥の狙い通りなのかもしれないとも思いました。

出演者は次のとおり

田中俊介さん 須賀健太さん 坂口涼太郎さん / 藤野涼子さん 小日向星一さん 深沢萌華さん 武谷公雄さん 高山のえみさん 山口航太さん 武居卓さん 田中佑弥さん 緑川史絵さん 川平慈英さん / 緒川たまきさん 眞島秀和さん


まつもと市民芸術館

長丁場の公演ということで幕間に地元 塩尻のおやき店の出張販売があるということで、公演前から並んだのですが残念ながら直前で売り切れてしまいました。😭



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