[cinema] 『水深ゼロメートルから』
『アルプススダンドのはしの方』からに続き、高校演劇から生まれた映画作品。脚本は2019年の高校演劇上演当時は高校生だった中田夢花さんが映画版も引き続き担当。高校生4人の悩みや葛藤を瑞々しく描いていました。子供の頃は女の子も男の子も区別なく一緒に阿波踊りを踊っていたのに、大人になるにつれて男は男踊り、女は女踊りと分けられていくことに違和感を感じる女子高生の気持ち。お化粧をしなければ一軍ではいられない、自分磨きこそが自分らしさという女子高生の気持ち。正直私にはピンときませんでしたが、しかし若い日に感じた小さな違和感の積み重ねには、どこか覚えがありました。主人公たちに補習のプール掃除を命じる体育教師をさとうほなみさんが演じているのですが、生徒の前では先生らしく振る舞っているのだけれども物語の終盤で自らも先生らしさを求められることに息苦しさを感じていることを吐露して物語の厚みが増していました。
映画のあとには、4人の高校生の一人を演じた花岡すみれさんと山下敦弘監督によるアフタートークがありました。高校演劇版に続く、プロの役者さんによる商業演劇版からキャストをほぼ引き継いでの映画化ということで、自分の色を出すことよりも映画作品として仕上げることに注力したという山下監督の姿勢や今回の映画作りのお話が勉強になりました。
松本CINEMAセレクトの上映とアフタートークが行われたまつもと市民芸術館の隣にあるNHK松本支局の建物。
建物の老朽化に伴い今年6月に信毎メディアガーデンに移転するそうです。そして移転前のイベントしてこのあと 『今夜も生でさだまさし』 の公開生放送が予定されていました。 観覧募集は落選してしまったので建物から流れてくる放送準備の熱気だけを感じて通り過ぎました。