[cinema] 『大コメ騒動』
2021年01月24日 11:06更新
舞台は1918年(大正7年)、シベリア出兵前夜の富山県の漁村。のちに日本全国に広がった米騒動の発端となった「おかか」たちのたたかいをフィクションと史実を織り交ぜつつ、痛快に描いたエンターテインメント作品。
出稼ぎに出かけた男たちの稼ぎでは足りない日々の米を買う金を、米の積出作業の重労働の日当で辛うじて繋いでいる漁村の女性たちが止むに止まれず米の積出作業を阻む矛盾。米の価格が上がったのであれば、米を作る農家や米を港へ運ぶ漁村の女性たちの取り分も増えるはずなのに、一部の目端の利く人たちが富を独占する矛盾。騒動のリーダーである大婆が警察に勾留されてしまうと、活動から抜けるものが出たり、買収されるものが出たり、と必ずしも一枚岩ではない主人公たちですが、潰されても、分断されても、諦めずに繰り返し立ち上がる姿に勇気づけられます。
投機や思惑でモノの値段が乱高下したり、働けど働けど実直に働く人が報われない世の中は当時も今も変わっていないのかもしれません。一方で、弱いとされている人、劣っていると蔑まれた人たちが、声をあげることで世の中を変えてきた、変えることができることも、今も昔も変わっていないのだと感じました。
冷笑にも諦めにも負けることなく何度も立ち上がり声を上げることの大切さを教えてくれる物語でした。そして、経験を積んだ女性たちがかっこいい作品は文句なく名作!