[cinema] 『スパイの妻』
2020年11月03日 03:01更新
日本が満州事変から太平洋戦争へと突入していく激動の時代。スパイを疑われた男と、その貞淑な妻を巡って繰り広げられるサスペンス・ミステリー。高橋一生さんが演じる貿易商の男が敵国のスパイなのか正義を求める勇気ある告発者なのか、二転三転する物語の最後までハラハラドキドキさせられます。蒼井優さんが演じる貿易商の妻は世間知らずの資産家のお嬢さんとして描かれているのですが、物語の進展とともに大胆な行動へと駆り立てられていきます。狂っていく時代の中で狂わざるを得ない人、狂っていく時代にも順応して狂った道を突き進む人。いずれにしても、そのゆく先に不幸しか見えない時代を力強く生きた人を見事に描いた作品でした。