ちはやふる日記


[cinema] 『ウインド・リバー』

2018年09月29日 03:39更新

雪と氷に閉ざされたネイティブ・アメリカン保留地(インディアン居留地)で発生した一人の少女の不審死。その死の真相を追求する若き女性FBI捜査官と、偶然少女の遺体を発見した男性が事件の闇を追いかけていくクライム・サスペンス。ネイティブ・アメリカンによる自治という美名のもとで、部族警察といっても人員不足で麻薬の取引が横行する無法地帯となった保留地。FBIから派遣された捜査員もたった一人で事件性が低いと見なされれば、あっという間に呼び戻されること必至の中央政府機関の無関心と放置政策のなかで主人公の二人が奮闘します。


物語の終盤に二人がたどり着いた犯人は、計算高いわけでもなく狡猾な知略をもったわけでもない、取るに足らない相手にするのも憚るような人物なのですが、巨大企業や連邦政府といった大きな権力の傘の下で搾取されつつも庇護も受けていることを嗅覚だけで感じ取って、傍若無人に振舞っている姿に薄ら寒さを感じました。無知や無関心を装った差別こそが真の加害者ではないかと考えさせられた作品でした。



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