ちはやふる日記


[event] 講演会 「Web2.0を支える技術 オブジェクト指向スクリプト言語 Ruby」

2007年05月31日 14:30更新

松本のホテル ブエナビスタにおいて、長野県ソフトウェア生産性研究会主催で プログラミング言語 Ruby の父 「まつもとゆきひろ」 さんを招いての講演会があったので仕事を抜け出して聞きに行きました。 ^_^;



現在、生活の拠点を島根県松江市においていらっしゃる、まつもとさんが、遠路遥々、松本まで来るのは大変だなと思っていましたが、松本城観光をしたり、苗字と同じ「松本」が刻まれたキーホルダーを家族のお土産に買ったりと、初夏の信州を楽しまれたようです。

プログラミング言語を趣味で自ら作ってしまったカリスマ・プログラマのイメージがあったので、もっと気難しい、学者然とした人が現れるのかと思ったら、終始にこやかに、素人にも分かりやすい言葉で講演してくださいました。

最初にまつもとさんとコンピュータ、プログラミング言語との関わりの端緒を語られましたが、やはり世界を席巻する方は違うと言うか、高校生の時代にまで遡りました。

当時まつもとさんはお父さんから与えられたBASICが走るポケコンを持っていたそうですが、それ以上の性能を持つコンピュータに触れる機会もなく、周りに教えて先生もいないなかで、本だけを頼りに smalltalk や Lisp の勉強をしたのだそうです。御本人曰く、活字だけを読んで分かったつもりになっていたと自嘲気味に語られていましたが、実際の実行環境がないところで本を読もうと言う意欲が、やはり凡人とは違うと思いました。

WHAT よりも HOW 。何をするかよりも、どうやって実現するかに、ずっと興味を持ち続けてきたとのことで、生まれながらの言語屋さんなのかもしれません。

大学でコンピュータ言語を対象とする研究室に在籍した後、会社勤めをし、同僚と一緒に趣味でプログラミング言語の開発を始めたのだそうですが、動機は「楽しいから」だそうです。

まつもとさんのお話全体の底流にあったもとは、すべて「楽しい」に通じていたように感じました。

  • プログラミング言語は、開発者の生産性を高めなければならない。
  • プログラミング言語は、美しくなければならない。
  • プログラミング言語は、より高品質なソフトウェアを生まなければならない。
  • プログラミング言語は、より短納期で開発できるように手助けしなければならない。
  • プログラミング言語は、より低コストで開発できる方向に向かわなければならない。
など、今日的なソフトウェア業界の課題を挙げていらっしゃいましたが、目的は、それを解決することが、自分の楽しいに繋がるからでした。

「醜いコードやプログラミング言語を扱うのは気持ちが悪い」。 「同じことを実現するのに何ヶ月もかけるより、1日で終わったほうが楽しい。」。 「デバッグに徒労を費やすより、次のクリエイティブな創造に時間を使ったほうが楽しい」。 お話は全てご自身の心地良さ、つまり 楽しい に繋がっていました。

最後に聴講者からの質問として、「地方都市に生活の拠点をおくことに東京都など大都市との格差を感じませんか?」と聞いてみましたが、「インターネットで情報の交換をすれば、東京との差は感じないし、世界を相手に仕事をしていると、東京にいるから相手に会えるわけでもないのでハンディキャップはない。それよりも家族は Ruby とは関係のない世界で生活しているので、地方の環境のほうが、より生活が充実しています。」との勇気付けられる言葉を貰いました。



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