[travelogue] シリコンバレー探訪
ワシントンD.C.で遊んだ後は、6時間かけてアメリカ大陸を横断し、シリコンバレーで オタク 博物館巡りを締めくくりました。
コンピュータ歴史博物館 (Computer History Museum)
いままでずっと行ってみたかった博物館がスミソニアンだとすれば、今まさに行ってみたい博物館が、この コンピュータ歴史博物館 (Computer History Museum) でした。
20世紀が航空機と宇宙開発の世紀だったとすれば、21世紀はコンピュータと情報技術の世紀に間違いありません。
ライト兄弟のライトフライヤと Apple I が、いつの日にか並んで展示されるそのときを夢見ています。
現在は倉庫に毛が生えたような展示ですが、マニア垂涎のコンピュータの歴史を刻んだお宝がところ狭しと展示されていますので御紹介を。
この博物館が始めてでした。会社リタイヤ後の第二の人生と思われる学芸員さんが、見学中の私の横に「つかつか」とやってきて、「撮影した写真はブログに公開しても、雑誌に掲載しても自由ですよ」なんて親切にアドバイスを受けたのは。
ちなみに写真は年代を追って掲載したほうが分かりやすいのでしょうが、あとから間違いにツッコミが入りそうなので、とりあえず興味を持った順で。。。 ちなみに博物館の展示も EDVAC のそばに、 googleサーバが置いてありましたから・・・
そういう意味でも、まだまだ発展途上の博物館です。
googleの初代サーバ
これが初代のgoogleのサーバだといわれると感慨ひとしおです。部品を見てみると、いずれも汎用PCの部品をそのまま流用しているようですが、棚にずらずらと積み重ねられた、これだけのサーバを並列化して高速レスポンスを叩き出す技術はさすがだと思いました。
Apple I
これがアップルの全ての始まりです。きゃー、すごい。スティーブ・ウォズニアックのサイン入りです。そう言えば、"Wizard of Waz" (ウォズの魔法使い)というウォズニアックの愛称を聞いたことがありますが、ちゃんとアメリカの歴史は繋がっていますね。
インターネットの起源
世界で始めて、IPによるルーティングで3拠点を結んだルーターです。インターネットは、ここから始まったと言っても過言ではない一品です。
高級言語
左から FORTRAN, ALGOL, COBOL。ソフトウェアの展示を行うと、こういう、迫力に欠けるものになってしまいます。
UNIX
UNIXの展示となると、バックにPDP−11を控えさせて、「どうだ!」という展示になりますね。
ENIAC と EDVAC
左が ENIAC のモジュール。右が EDVAC のメモリモジュールです。ENIAC はバラバラにされたものが色々なところでお目にかかれますが、EDVAC は、ちょっとレアアイテムでしょうか?
アナログ・コンピュータ
原始プログラミング
説明の案内板には "Plugboard Programming" と書いてありました。ストアード・プログラム方式登場以前の配線変更で実現する原始プログラミングですね。こんなのも実物を見るのは初めてです。デバッグが大変そうで大変そうで・・・
コア・メモリ
現在でもUNIX系のOS上でアプリケーションが異常終了してメモリ・ダンプを書き出すことを、「コアを吐く」といいます。その「コア」の語源が、このコア・メモリです。これも実物を始めてみました。意外に小さいものだと思いました。と、言っても恐らく1ビットを記憶するために、この配線の格子が交差する一点が必要なのでしょうが・・・。大変な集積度といえば集積度です。
プリンター
とりあえず脊髄反射してみました。。。
IBM
IBM の Think の標語と、大恐慌後のニューディール政策で、一斉を風靡したカード・ソーターです。
半導体デバイス
左がトランジスタ基盤。右がシリコン基盤です。同じ基盤ですが、ちょいと意味が違いますのでお間違いなく・・・
Randome Access Memory
サンタクララのインテル博物館よりも充実した展示だったような・・・
IBM System/360, OS/360
『人月の神話』に登場するIBMの System/360 です。IBMの汎用コンピュータを代表する機種でもあり、まさに歴史の一ページを飾る一台です。
電子式計算機前夜
そろばんと機械式計算機の展示もあります。『がさっと』展示してありますが、一つ一つに丁寧なコメントをつけて展示をすれば、かなりのコレクションだと思います。
CRAY-1
スーパーコンピュータと言えば『クレイ』という時代がありましたね。円筒形の特徴的なフォルムが、映画やテレビゲームにも登場した記憶があります。近づいてみると内部は配線と基盤の山ですね。
SAGE
1950年代終盤から1980年代までの米ソ冷戦期に米国がソビエトからの爆撃機の進入を監視した防空管制システムです。CRTベースのユーザインターフェースを実用化したという面でもエポックメイキングなシステムです。
ハードディスク装置
大きなものから小さなものまでハードディスク装置が進化してきた過程が辿れます。こんな馬鹿でかい円盤を回すくらいであれば、磁気テープで我慢すれば良さそうなものを、そこを改良して小さくしていく。軽薄短小は日本のお家芸かと思っていましたが、なかなか、アメリカの皆さんも頑張っています。
パソコン
あれー、というほど、たくさんの一時代を飾ったPCが展示室の入り口でお出迎えしてくれます。
Altair 8800
世界初のパーソナルコンピュータと呼ばれる Altair 8800 です。CPUはIntelの8080 2MHz、メモリはわずか256バイト。ビル・ゲイツが、まだ作ってもいない Altair 向けの BASICインタプリタを「作ったよ!買ってくれない?」とブラフをかけて売り込み、相手の反応が良かったので、やおら開発を始めたという逸話は有名です。Microsoft が、まさに時代を駆け上がる「きっかけ」となったパソコンです。
Apple II
Apple Computer が経済的な成功を初めて収めたマシンが、この Apple II です。スティーブ・ウォズニアックが、ほぼ一人で設計した名機です。
元祖・表計算ソフト Visicalc が対応したのも、このPCです。このソフトが使いたいから、このPCを買う。それまでのホビースト向けの商品だったPCが、実用品に変わったのも、まさにこの製品からです。
なので他のPCと並んで展示されるのは少し可哀想かも・・・。ショーケースの一つも用意してもらって・・・
IBM PC
汎用機世界の巨人IBMがアップルの成功を見て、追いかけた製品がこれです。"PC" という呼び方も、ある意味、この製品名から一般化ものですね。IBM が急ごしらえでパソコン製造に参入するため、CPU は Intel から、 OS は Microsoft からと、重要部品を外部調達したことが、その後のPCビジネスの覇権争いに影響を与えた製品でもあります。
BeBox
アップル・コンピュータで開発責任者まで務めたジャン=ルイ・ガセーがスピンオフして設立したBe社が作ったパソコンです。ここまで来ると私もリアルタイムに知っています。もっとも、このPCを展示販売していた秋葉原のぷらっとホームも今は店舗販売から撤退してしまいました。今は昔のお話です。
電卓コレクション
一台一台、写真に収めていきたいところでしたが、そろそろ力尽きてきました。
日本製品
日本製PCも見つけました。懐かしい人は手を合わせてください。
PIXAR
『トイ・ストーリ』や『ファインディング・ニモ』を製作した映像製作会社 Pixar の画像処理用コンピュータだそうです。中身は良くは分からないですが、アーティスティックっぽいケースが印象的です。
コンピュータ・ゲーム
ATARI を代表とする往年のコンピュータ・ゲームも展示されています。
Apple 創業のガレージ
アップル創業の伝説となったガレージ。若き日のスティーブ・ジョブズが暮らした御実家です。
閑静な住宅街の普通のお宅です。太平洋の向こう側からやって来た怪しい人物がうろつきまして、申し訳ありません。
シリコンバレー発祥の地
カリフォルニア州公認のシリコンバレー発祥の地です。
スタンフォード大学で出会ったウィリアム・ヒューレットとデビッド・パッカードが、この地にあった小さなガレージから起業したのが Hewlett-Packard 社の始まりです。左奥に小さく写っているのが再現されて史跡指定されたパッカードさんのガレージ。、スタンフォード大学に程近い、このような閑静な住宅街から、世界に羽ばたくIT企業が誕生したと思うと感慨ひとしおです。
スタンフォード大学
HP創業の地に来たついでに、ふらっとトイレでも借りるつもりで立ち寄っただけなんです。ごめんなさい。こんな、すごいキャンパスだと思いませんでした。レンタカーで近づくにつれて、なんだ、この広大なキャンパスは!と、びっくりしました。これらの歴史的な建造物も、まだそれなりに現役で使用しているようで、建物の脇の自転車置き場には何台かの自転車が止まっていました。
Sun Microsystems の創業者も Yahoo の創業者も google の創業者も、みーんな、スタンフォード大学出身です。アメリカの底力を垣間見た思いがしました。
Intel
インテル本社の中にもインテル・ミュージアムと称する博物館があります。ではありますが、ビルの一角を区切った小規模なショールームといった感じで、Computer History Museum を見学した後では、ちょっと見劣りしました。しかし「Intel Museum を見学します!」という大義名分の下、Intel の敷地内をうろうろすることができました。車が頻繁に往来する出入口付近で記念撮影をする人が多いらしく、危ないから敷地内に作った、この大きな看板の前で記念撮影してください、という配慮のようです。