ちはやふる日記


『市子』

2023年12月29日 09:04更新

プロポーズを受けた翌日に忽然と姿を消す主人公の女性を杉咲花さんが演じています。

物語は社会の孤立を描いています。ある事情により小さな小さな単位である家族が社会から孤立してしまう。社会から孤立した家族はやがて崩壊して孤人が放り出されてしまう。そんな悲劇を杉咲花さんが演じる一人の女性の視点から描いていました。

映画をみながら感じたのは、クリスマスイブの週末にテレビやラジオから流れた19年前のヒットソング『チキンライス』とのつながり。『チキンライス』のなかで歌われているのは貧乏で家族とのたまの外食でも親に遠慮して高価なメニューは頼めなかったという思い出話。そして歌詞は「親に気を遣っていたあんな気持ちが今の子供にわかるかな?」という内容で締めくくられているのですが2023年の日本の貧困はたまの家族の外食さえ望めない状況にまで落ち込んでしまったということ。夫婦の離婚とか家族の病気とか環境が変われば誰もがあっという間に社会から孤立して家族が崩壊して放り出されるという現実。「仲良き家族」を美しい国の理想像と謳いながら個人の不幸は自己責任で片付け、家族をサポートする政策を進めることもしてこなかったツケに復讐されていると暗澹たる気持ちになりました。



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