ちはやふる日記


信州山岳サミット

2016年07月06日 13:28更新
信州山岳サミット 信州山岳サミット

長野県松本市のキッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)で開催された信州山岳サミットに参加しました。今年から国民の祝日として制定された『山の日(8月11日)』を記念して開催された長野県主催の記念行事でした。

前半は登山家の野口健さんによる基調講演。後半は野口健さん、信州大学教授の鈴木啓介さん、涸沢ヒュッテ代表の山口孝さん、モデルの仲川希良さん、そして長野県知事の阿部守一さんによるパネルディスカッションと県政タウンミーティングでした。

最後の質疑応答は野口健さんやモデルの仲川希良さんへの質問でも良かったのでしょうが、壇上に長野県知事が座っているということで、ほぼ100%阿部知事への提言、要望でした。ただ提言や要望に対する阿部知事の回答から、阿部知事がどういうことに関心を持って、どういうふうに考えているのかも垣間見れて興味深かったです。

最初の4〜5件の提言は「仕込み」というと言葉が悪いですが地元の信州大学と高校の登山部の学生さんがゲストの野口健さんなども交えて午前中にワークショップを行い、山岳県長野をどうすれば良くできるか?と考えて話し合った結果を午後のイベントで知事に提言として聞いてもらう、といったやりとりでした

学生さんからの提言で2件が印象に残りました。

1件は、「最近山小屋に併設されているテント場の利用料が値上がりして困っています。学生向けの補助金制度を長野県で設けてくれないでしょうか?」と言った内容でした。いきなり「補助金ください!」という提案はちょっと短絡的発想かな?とは思いましたが、山岳部の学生さんの困りごとをさらに聞いていると、最近の北アルプスのテント場は「マイテント」で溢れていて、利用料は高いしテントを張る場所もなくて困っている。「マイテント」以外を利用料やスペースの割り当てで優遇してもらえないだろうか?という話が溢れてきました。「マイテント」って何のことだか最初は分からなかったのですが話を聞いていると、昔は、もしくは現在でも学校の山岳部や社会人の山岳会の登山であれば、数名のパーティーで1つのテントを共有して過ごすことになるですが、最近では一人用や二人用のテントが多くなって、あっという間に限られたテント場が一杯になってテントを立てる場所がなくなってしまう、という悩みでした。登山スタイルの変化や登山用品の軽量化の影響もあるのでしょうが、昔のように大きくて重たいテントや調理道具を背負って登り、テントの中で仲間同士親交を深める、というスタイルは減ってきているんだろうなと思いました。

もう一件の学生さんからの提言で印象に残ったのは、登山情報を共有するアプリを県で開発して提供してもらえないでしょうか?というアイデアでした。パソコンソフトでもWebアプリでもなく(スマホ)アプリというのが今時なのかな?と思いました。ゲストの野口健さんもスマホアプリくらいは使ったことがあるのでしょうが、ご自身は今時のトレンドには疎いおじさんを演じて若者代表の希良さんにスマホアプリの説明役を振って花をもたせていました。一方で阿部知事はCompassヤマレコを引き合いに出して、提案者の学生さんがどう言った新しい機能を求めているのか質問していたのには驚きました。長野県内の指定登山道にて登山届提出義務化が施行されネットでの提出も可能となったため、そういった知識も知事は把握しているのだなと感心しました。

 

一般参加者から挙がった提言で印象的だったのは学校登山への支援を求める内容でした。長野県内の小中学校では昔から学校登山の習慣があるのですが最近は学校登山を実施するところが減ってきている。子供のうちから長野県の自然に親しむためにも長野県の学校登山の文化を残して欲しい、という内容でした。

これについても阿部知事から回答がありました。学校登山については学校の先生の負担感が大きいというのが一番の理由のようでした。確かに大勢の生徒さんを引率して普段とは違う環境に出るというのは大変だと思います。また子供の頃の学校登山で辛い思いをして、却って山嫌いになってしまい長じて登山から離れてしまう長野県民の話もありました。学校登山は一般の登山者が訪れない閑散期、梅雨などに計画されることも多いため、こんなことになってしまうのかな、とも思いました。1学年まるまる数百人規模で一斉に山に登る昔からの学校登山のスタイルは、現在では難しくなってきているのかな?と私も思いました。学校登山のスタイルも時代とともに変えていかなければならないのでしょうね。

 

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