ちはやふる日記


堅牢!松本城ツアー

2011年07月09日 11:45更新
松本城 松本城

地元、長野県松本では先月30日に震度5強の地震が発生し、市内の一部ではブロック塀の倒壊や民家の屋根瓦が落ちるなどの被害が発生しました。

国宝松本城にもひびが入る被害が出たとのニュースも報道されて、旅館の宿泊キャンセルなども相次いでいるようです。

しかしながら実際のところの松本城は漆喰の壁に小さなひびが入っただけで、耐震的には全く問題がなく、観光客の皆さんも今回の地震被害は心配しないでどんどん遊びに来て下さいね、というアピールツアーに参加して来ました。前日、ホームページやTwitterで告知されて急遽開催されたプレイベントだったので、一般の参加者は私を含めて3名だけでしたが、おかげで松本城の研究員の方の説明を間近で聞きながら城内を一時間掛けてじっくり見学することができました。

松本城 松本城

これが今回の地震で、乾小天守の内壁に入ったひびだそうです。ひびが走っているのは漆喰壁の表面部分だけで構造的には問題なし。お城全体はしなやかに地震の力を逃がしながら揺れたのだけれども、壁に穿たれた狭間(銃眼)の部分だけが他と比べて頑丈すぎて壁がひずみを吸収し切れなかったのでしょう、と言う説明でした。国宝でなければお父さんが日曜大工でパテを塗り込んで補修できる破損レベルですね。 ^_^;

また昭和の大修理の際に、漆喰壁の表面は近世の外観を保つように復元されたそうですが、内部には鉄筋を入れて補強してあるため、創建当時に比べれば数段耐震性能が上がっているそうです。


松本城 松本城

耐震性能の説明を受けながら写真を撮っていたので天井の写真ばかり。 ^_-;


松本城

大天守と小天守をつなぐ梁には、自然に曲がって成長した木の湾曲を上手につかって強度を出しているのだそうです。

風雪を耐え抜く過程で曲がって成長した木は、板や柱の材としては使い物にならないのだそうですが、このように梁として使うと真っ直ぐに成長した木材にはない粘りを出すと聞いたことがあります。深いですね。 ^_^;

ちなみに赤く光る筋はガイドさんの指しているレーザーポインター。


松本城

松本城の天守には五重塔のような心柱がない代わりに、このように数多くの複数の柱で全体の重みを支えているのだそうです。ますます深い。。。 ^_^;


松本城

一般の観光客は覗き込まない天守の基礎部分。「基礎が大事」と言葉にするのは容易いですが普段は目に触れない部分に惜しみなく労力を注いだ先人の努力には頭が下がるばかりです。


松本城

漆喰壁の断面から内部を見せた展示。


松本城

柱と梁の連結部には、ほぞ(くさび)で固定している部分があります。強い力がかかったときには、このほぞが外れて力を逃がすのだそうです。ただただ、全てをがっちりと固定するのではなく、最後まで頑張る部分と諦める部分を使い分けているところも深いですね。


松本城

屋根瓦が脱落した部分は見当たらず。


松本城

ここも木を上手に組んで力を逃がしていますね。


松本城

下層階と上層階を貫く通し柱。


松本城

大天守の屋根裏も全く損傷なし。


松本城

松本城

こうしてお城の内部を細かく見学してから、外からの松本城の姿を見ると、また思い入れも変わって来ますね。



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