ありふれた奇跡
2009年01月09日 13:13更新
昨日スタートした山田太一脚本のテレビドラマ「ありふれた奇跡」を見ていて、落語の演目「文七元結」を思い浮かべました。
文七元結の物語は、左官の親方が娘を女郎屋に預けてこしらえた大切なお金を、お店(たな)のお金を失くして困り果てた末に身投げしようとしている見ず知らずの奉公人に渡してしまう、というものです。博打の借金で娘を女郎屋に預けざるを得ない状況を作り出した左官の親方に共感できるか?というと私には無理だし、お店の大切なお金をあっさりと失くして、死ぬの死なないのと逡巡している奉公人にも同情は涌いてきません。
しかし、川に身投げしようとしている人を見つけた左官の親方が「おれの娘はこの金がなくても女郎に身を落とすだけだが、お前はこの金がなければ死ぬんだろう。だったらお前が取っておけ」と投げつけるようにして金を渡す場面には、やはり心を打たれます。
大切なお金を渡す以外に、命を救う「かしこい」方法は他にいくらでもあるのでしょうが、「かしこい」方法では心をうつ人情噺にはならないのだろうと思います。「かしこさ」では解決のつかない問題なんて世間には山のように溢れていますから・・・
「ありふれた奇跡」も、仲間由紀恵さんと加瀬亮さんの二人が演じる主人公が、ホームから電車に飛び込もうとしている男性を助けるところから物語が始まります。文七元結のお話と同様に主人公のふたりにハッピーエンドが訪れるのか否か、目下ドラマの続きが気になっているところです。 ^_^;