前日から引き続き、チャンピオンシップ大会のワークショップを見学してきました。
ワークショップ中のメモを備忘録代わりにアップします。なにぶんメモ書きのため、内容の不備や間違いはご容赦ください。
モデル総評
【RCX部門 シルバーモデル】 RITS_TT さん
全体としてバランスのとれたモデルとトレーサビリティ。モデルの洗練過程がメトリクスから導き出されている点が高評価。
【RCX部門 ゴールドモデル】 BERMUDA さん
ゴール指向分析、フィーチャー分析、ユースケースの組合せが高評価。
【RCX部門 エクセレントモデル】 忠犬二号 さん
実現可能性が追跡しやすい。走行戦略もユースケースの中できちんと記述されている。例外処理が深く検討されていてグッド。(実際の走行では例外処理が残念ながら期待通りには発揮されなかったけれど・・・)
【NXT部門 シルバーモデル】BricRobot09 さん
複数の分析の組合せが効果的に使われていた。
【NXT部門 ゴールドモデル】サヌック さん
離散系(デジタル)と連続系(アナログ)を一貫して区分けしてモデルリングを行ったコンセプトが非常に高い評価を得た。
【NXT部門 エクセレントモデル】 HELIOS さん
設計モデルが高評価。さらに制御モデルも非常に良くできていた。
全体のトレンド
- あたらしい方法論が登場した。GPS走行(位置推定)やマップ走行などがキーワード。
- 開発環境との融合も進んだ。
- ソフトウェアプロダクライン(SPL)の適用例も目立った。RCXとNXTの並行開発やRCX資産のNXTでの積極的な活用。
- NXTプラットホームの新しい走行戦略としてライントレース走行とマップ走行(非ライントレース走行)のハイブリッド化、走行方法切り替え方法の工夫も見られた。
- 学生チーム、女性チーム、シニアチームと参加者層がさらに拡大した。
- 設計と性能の両輪を追求するチームが増加した。
- なぜ、このモデルを記述したのか(記述する必要があったのか)、マインドマップなどで掘り起こすプロセスの説明が充実してきた。
- 一方で機能モデルが、いまいちプアーな印象を受ける。機能モデルが実際の走行性能に結び付かないことが原因でしょうか?
- 構造モデルのいまいちな典型例として、「責務が大きすぎる」、「多重度の記述(検討)が抜け落ちている」などの点が目に付いた。
- モデルの可読性や性能記述に関しては各チームとも一定水準に達してきたので、来年は機能や構造の記述をさらに充実させるのがポイントでは?
RCXの総括とNXTの可能性
第一回UMLロボコンから歴史を辿り、懐かしい写真やトピックスが紹介されました。
- メタファ流行の時代。蟻の行列のメタファなど様々なメタファが一世を風靡。
- ドルフィンジャンプ(コースライン外走行)の確立
- DSL(Domain Specific Model)への挑戦。昨年度のてまりんさんから、今年度の忠犬二号さんに引き継がれ、実際の走行性能面でも実力発揮。
新しい設計技術とその解説
どのチームが、どのような設計技術を効果的に(ときに非効率に)取り入れたかの解説でした。
SPL (Software Product Line)
- RCXとNXTの並行開発
- プッシュスタート2 さん
- BricRobot09 さん
- BERMUDA さん
- RCXからNXTへの開発資産継承
- くろしお さん
メカ制御モデル
- サヌックさん:連続系と離散系の切り分け方が組込みシステム開発に実践的。
SysML
- 要求図
- ひものエンベダーズ さん
- サヌック さん
- パラメトリック図
- 蕨レーシングチーム’09 さん
DSM
- BricRobot09 さん
- BERMUDA さん
形式手法
- VDM
- Vienna Line Tracer Club さん
- O・I・SA さん
- e-Spot さん
形式手法は厳密性に優れているが可読性は劣るため、UMLと組み合わせて使うのが効果的。
性能審査総評
RCXのPID(PD)制御、灰色検知は完成の域に達した。
NXTの新基軸
- HELIOS さん
- 難所攻略、開発環境、倒立制御の3つが揃っていた
- 忠犬二号 さん
- 全難所の例外処理が深く検討されていた
倒立制御の工夫
32チーム中、10チームが倒立制御の工夫(改善)に言及。
倒立制御に手を加えると走行中の転倒リスクが増加する。誠レーシングチームさんはパラメーターチューニングの工夫とともに、転倒を防止する技術にも取り組んでいた。
PID制御
32チーム中、27チームがPID(PD)制御に言及。モデルではPID制御に言及していなくても、当然PID制御を組み込んでいるというのが定石化している。
I(積分)制御不要論が多いが、ロボコンやらないかさんは角度制御におけるI制御の重要性を分析、言及していた。
BAMBOOさんとKnowledgeACTさんはPIDパラメーターを可変にする工夫を加えていた。
ライン検出技術
IIRフィルターや伝達関数に言及したデジタルフィルターを活用したノイズ除去が目を引いた。
HASH UFOさんは「まいまい式」を採用!!! 😀
マーカー(灰色)検知
マーカー検知は使わない。補助的にマーカー検知を用いるチームが目立った。モーターエンコーダーによる位置推定に言及したチームが 32チーム中、30チームと大半を占めた。
Bluetoothロギングデータの活用
走行ログを一方向に収集するだけでなく、ログを再生したりシミュレーションに利用する工夫も目を引いた。
コースラインから離れて最短距離を駆け抜け、相手コースの難所を取りあう仁義なき戦いが勃発。
あらかじめ複数のドルフィンジャンプ位置を準備するチームもあった。
コースラインに縛られない自由自在な走行については、誠レーシングチームさんが並走車との衝突リスクを半ページに渡って詳細に検討していた。並走車のふるまいを予想しつつ、衝突のリスクを検討。万一、並走車の進路を妨害したときのお詫びの品まで準備する念の入れよう。 😀
相手コースのボーナスポイントを狙う戦略は大変面白いが、並走車の進路妨害を回避する十分な検討が来年以降必須になってくるでしょう。
以上、みなさんお疲れさまでした。 😀
ワークショップの速報レポートありがとうございます。
福岡からだと、横浜まではさすがにチャンピオンシップ大会の出場権を得ない限り参加できない状況だったので、参考になりました。
>コースラインから離れて最短距離を駆け抜け、相手コースの難所を取りあう仁義なき戦いが勃発。
来年はNXTでの異次元の走り(コースを無視した自由走法)によるバトルが繰り広げられそうで、今から楽しみですね。
秘密戦隊ハカタさん、コメントありがとうございます。
是非、来年はチャンピオンシップで相見える機会が訪れることを楽しみにしています。