『いつか、無重力の宙で』
毎日、楽しみに見ていたNHK夜ドラ『いつか、無重力の空で』が最終回を迎えました。
高校生の頃は互いに宇宙への想い、未来への夢を語っていた天文部の四人が、30歳になりそれぞれに「大人」の悩みを抱える年代になっています。職場での責任が増し日々仕事をこなすことに一杯一杯になっていたり、病気の不安を抱えていたり、一人で子育てに奮闘していたり、恋人との関係を悩んでいたりと、高校生の頃には感じていなかった世界の重力を感じる大人になっています。そんな高校時代の天文部の四人が大人になって再び再開し超小型人工衛星打ち上げの夢にチャレンジするお話でした。
「あの頃は良かったね」とノスタルジーに浸るだけの物語ではなく、大人になったからこその経験や成長をテコにして夢に挑戦する姿が清々しく描かれていました。
木竜麻生さんが演じる30歳の主人公・飛鳥の高校生時代を田牧そらさんが演じていていました。高校生の天文部4人の無色透明なガラスの反射のようなキラキラ感がとても眩しいのですが、大人になった主人公たちが放つ自分色の鮮やかさがこれまた素敵でした。
というわけで最終回と同時に、amazon.comでドラマのサウンドトラックCDをポチっとしてしまいまた。😅
[cinema] 『おーい、応為』
画狂 葛飾北斎の娘で弟子でもある葛飾応為(お栄)を主人公にした映画をみてきました。NHKドラマで宮﨑あおいさんが演じた応為は達観したやさぐれ感、アンニュイな佇まいが素敵でしたが、長澤まさみさんが演じる応為は気迫に満ちた凄みがありました。刀を抜いた武士が丸腰で立ち塞がる応為に気圧される場面は圧巻でした。北斎は90歳で亡くなるまでに93回引っ越したと伝わっているそうですが、映画の中ではお栄さんが拾ってきた子犬が引っ越しのたびに大きくなる姿で時の流れを表現する演出が巧みでした。何事かに対して狂ったように熱中したことはないし、そこまで入れ込みたくはない、という冷めた気持ちが私の中にはどこかあるのですが、「これが人生の全て!」という人のおこぼれをちょっぴり疑似体験しました。
[cinema] 『秒速5センチメートル』
新海誠監督の2007年公開のアニメーション映画作品の実写化版をみてきました。叙情的、暗喩的な新海誠監督作品に対して、説明過多、セリフ多めに感じましたが独立した作品として楽しみました。アニメ版の『コスモナウト(種子島編)』の登場人物の姉妹を宮﨑あおいさんと森七菜さんが演じているのですが、この二人はオリジナルアニメを越える当たり役でした。特に宮﨑あおいさんが演じる姉の、どこか達観したような、しかし、妹や教え子を見守る感じが押し付けがましくなく、しかし、突き放しているわけでもなく、絶妙な距離感がとても素敵でした。コスモナウトの主題は、故郷(種子島)から旅立った宇宙探査機がひとりぼっちで遠い深宇宙へ長い長い孤独な旅を続けていく姿だと思うのですが、宇宙探査機と深宇宙の描き方が実写ではちょっと難しかったのかな?と見ていて思いました。

